文化財の保存と活用
大本山永平寺 瑠璃聖宝閣
厳しい気候条件下、安定した環境と低ランニングコストの
収蔵施設と展示公開を実現
プロジェクト概要
瑠璃聖宝閣は、曹洞宗の大本山永平寺の開祖である道元禅師の大遠忌を記念して創設された施設です。国宝・重要文化財を含む貴重な収蔵文化財を後世に継承していくため、収蔵機能の整備を行い、一部を展示公開できる展示スペースを設けています。
保存科学の見地から理想的な収蔵環境の実現をめざし、年間を通した多湿、冬期の多雪という厳しい気候条件にありながら、安定した環境と低ランニングコストの両立を実現しています。また、展示空間では、資料の保存を重視した技術を様々に用いつつ、資料の持つ価値を美しく効果的に表現しています。
貴重な資料の物理的な継承とともに、大本山永平寺を訪れる多くの参拝者に対して「こころ」の継承をより進めるための拠点となっています。
- 所在地
- 福井県吉田郡永平寺町
- 事業主体
- 宗教法人 永平寺
- 事業年度
- 平成11~14年度
- 完工年月
- 平成14年3月
- 延床面積
- 1,916㎡
- 受託業務
- 総基本計画、建築設計・監理、展示計画・設計・監理
展示工事、映像設計・制作、建築設備総合管理(平成15年度~)
技術的な特徴
国宝・重要文化財を含む貴重な収蔵文化財を後世に継承するため、在来様式と現代技術の融合で収蔵庫及び展示空間を整備しました。施設設計にあたっては、下記の内容を課題として取り組み、高レベルで目標を達成しています。
- 年間を通じた多湿・冬期の多雪という厳しい気候に対応し、かつ安定した収蔵展示空間を低ランニングコストで維持可能とするため、特許仕様収蔵庫と対応空調システムを導入。
- 収蔵文化財の収蔵、メンテナンス空間の充実のため、機能集約が徹底したプラン作成。
- 防災性能の万全を期し、免震構造、局所ガス消火システムを採用。
- ユニバーサルデザインに則して文化財公開がなされるため、バリアフリー対策、見やすく保存科学上有効な展示手法を開発。
- 大本山にふさわしい様相、環境整備をめざし、禅宗様で在来木構造である参道にふさわしい外観としながら、現代技術である耐火、免震構造を融合。
設計スタッフ
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小林 宜文デザイン・設計
- 神社仏閣に関わる国指定文化財の保存環境整備に多く携わり、博物館、美術館の設立に関わるコンサルティングを担当。
伝統文化からサブカルチャーまで文化芸術が社会そして生活に幅広く取り入れられるために尽力。