
文化財の保存と活用
国宝紙本金地著色桜楓図ほか10件 美術工芸品保存活用整備事業
真言宗智山派総本山智積院 展示収蔵庫 宝物館
文化財への負荷を最小限に抑えながら、その魅力を最大限引き出す
文化財と人が、安心・安全な環境で間近に向き合える保存公開環境の実現
プロジェクト概要
真言宗智山派総本山智積院の「弘法大師空海ご誕生1250年」を記念した奉修事業の一環として建立された新宝物館。長谷川等伯一門の国宝障壁画をはじめとした指定文化財の保存活用整備事業により文化庁、京都府及び京都市の指導と助成を得て整備を推進しました。
「適切な環境下での収蔵・保存」「智積院に収蔵されている美術品などの公開・展示」「学術研究や教化活動の発展、支援のための調査・研究」の3点を基本理念として、国宝障壁画に加え智積院が有する約8万点の資料を収蔵・公開する総合的な文化財保存活用施設として計画を行いました。
- 所在地
- 京都府京都市
- 事業主体
- 真言宗智山派 総本山智積院
- 事業年度
- 平成28年度~令和4年度
- 完工年月
- 令和4年9月
- 延床面積
- 1227.85㎡
- 受託業務
- 基礎調査・基本構想・計画・建築設計・監理(収蔵・展示設備含む)
技術的な特徴
◆露出展示からケース展示へ/「守りながら魅せる」保存と公開の両立を目指す
施設の中核となる障壁画展示室に関しては、旧宝物館の露出展示からケース展示への変更を基本方針とし、公開空間イメージ、温湿度環境、汚染空気・虫菌害対策、盗難・破壊、照明・光環境等の各項目について保存と公開の両立を目指し詳細検討を実施しました。
◆最小限の照度で障壁画の魅力を最大限引き出す光環境の構築
特に照明・光環境に関しては、障壁画の魅力を最大限引き出す照明設備の設計と共に、少ない光でも作品が見やすい鑑賞空間、目の暗順応を考慮した観覧動線、人感センサー連動の消灯システム等により公開に伴う積算照度を最小限に抑える工夫を行いました。







※写真撮影(施設外観を除く)/(株)エスエス 津田裕之
設計スタッフ
-
小林 宜文デザイン・設計
- 神社仏閣に関わる国指定文化財の保存環境整備に多く携わり、博物館、美術館の設立に関わるコンサルティングを担当。
伝統文化からサブカルチャーまで文化芸術が社会そして生活に幅広く取り入れられるために尽力。 -
﨑山 幸子企画
- 多様な調査から、博物館づくりの計画づくり、設計プランニング、運営計画まで幅広くコンサルティングを担当。近年は国際的な視野で、「文化観光」をテーマに、日本の魅力を世界に、未来に伝えるための調査研究を展開。
-
一ノ瀬 裕行デザイン・設計
- 文化財の保存公開環境整備を専門として、博物館や社寺の宝物殿等の基礎調査、計画、設計・監理等を担当。文化財のおかれる現況と顧客ニーズの丁寧な把握を元に、文化財と人にとってより最適な環境の実現に取りくむ。
-
植松 みさとデザイン・設計
- 使いやすいバックヤードの整備を目指して、美術館博物館や寺社宝物殿等の収蔵庫設計を担当する文化財博士。基礎調査とユーザーとのコミュニケーションを大切に、施設と資料の特性に合わせた保存管理環境を提案。
-
青島 彩デザイン・設計
-
吉谷地 華子施設配置
- 前職の造園設計で植物の個性やその背後にあるストーリーに触れた時のときめきから、「知る・伝える」ことへの関心が芽生えミュージアムの道へ。現在は、映像コンテンツの企画を中心に、ミュージアム全般の企画にも携わる。