博物館・美術館の整備再生
青都とばミュージアム
地域独自の歴史や文化の活用により唯一無二の価値を創出するエコミュージアムの取組から、文化観光を実現
プロジェクト概要
三重県鳥羽市では、商工会議所が中心となり、地域の歴史や文化を活かした観光地づくりを推進しています。鳥羽駅に近い商店街では、鳥羽とゆかりの深い江戸川乱歩の展示施設「江戸川乱歩館」を整備しました。海女が多く暮らす相差地区では、海女をテーマにしたまちづくりに取り組んでいます。
- 所在地
- 三重県鳥羽市
- 事業主体
- 鳥羽商工会議所
- 事業年度
- 平成11~23年度、令和4年度
- 開館年月
- 海女文化資料館 平成19年4月
海女の家五左屋 平成23年3月
江戸川乱歩館 令和5年4月 - 受託業務
- 構想調査/構想・計画、鳥羽みなとまち文学館展示設計、
相差海女文化資料館展示設計備品等制作、相差地区オリジナルグッズ企画、
相差地区まちなみ整備、青都とばホームページ制作、
古民家海女の家整備デザイン、
伊勢志摩鳥羽・小浜湾岸景観演出、古民家海女の家整備、
鳥羽エコミュージアム事業10ヶ年計画策定、
御食国答志島が再現する天平の料理を食す旅調査研究プロジェクト
鳥羽みなとまち文学館再整備企画
背景と課題
国内有数の観光地である鳥羽市では、従来の観光を脱却し新たな時代に適合した観光のあり方を考えるため、平成11年度に、市域を対象にしたエコミュージアム基本構想を策定し、海人文化のくに『青都とば』をメインテーマとして、住民が中心となったまちづくり(鳥羽エコミュージアム)事業を推進しています。
鳥羽駅周辺で「江戸川乱歩館」整備をはじめとする活性化事業を展開しています。また、相差地区では、地域と連携し「相差DMO(一般社団法人相差海女文化運営協議会)」を設立し、古民家等を活かした体験・物販・展示等の施設整備を展開、海女文化を紹介し、にぎわいを起こし周遊する拠点づくりを面的に実施しています。
課題解決までのアプローチ
エコミュージアム基本構想では、鳥羽市内全域での取組を想定し、文献調査や現地調査にもとづく地域資源調査を実施し、400件程度の地域資源を抽出しました。地域の歴史的な経緯を踏まえて、市内全域を11の地区に分け、それぞれの地域資源や歴史を踏まえた活動テーマを設定しました。
解決策・実現策
商工会議所では、市内11地区のうち4地区において具体的な事業推進を決定し、20年以上にわたり、各地区とともにさまざまな事業を推進しています。弊社では、各地区で展開する個別の事業企画、既存施設のリノベーションによる施設整備、商品開発等を担当し、具体的な事業推進を支援しています。
江戸川乱歩館[鳥羽地区]
平成14~19年にわたり、鳥羽地区で鳥羽みなとまち文学館の整備を推進しました。その後、令和3年に火災被害により休館を余儀なくされましたが、隣接地において既存施設のリノベーションにより新たな施設を整備し、令和5年4月に「江戸川乱歩館」として再オープンしました。
海女文化資料館[相差地区]
既存施設のリノベーションにより、相差地区の生業や歴史の紹介、海女をテーマにした美術作品等を展示する施設を整備しました。
パワースポットとして知られる「石神さん」をはじめ相差を訪れる観光客に対応する駐車場を併設し、来訪者への情報提供サービスも行うなど、相差エリアにおける観光の導入拠点となっています。
海女の家五左屋 [相差地区]
パワースポットとして知られる「石神さん」の参道沿いにある古民家をリノベーションし、特産品やオリジナルグッズ等を販売する物販・交流施設を整備しました。
恋みくじ、海女みくじ[相差地区]
石神さんのおみくじとして、源氏物語の登場人物になぞらえた「恋みくじ」、地元の海女や漁師が使う用語(口開、日和待等)のなぞらえた「海女みくじ」を企画、デザインしました。
収益は、地域でのさまざまな活動展開に活かされています。
クライアントコメント
スタッフ
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小林 宜文デザイン・設計
- 神社仏閣に関わる国指定文化財の保存環境整備に多く携わり、博物館、美術館の設立に関わるコンサルティングを担当。
伝統文化からサブカルチャーまで文化芸術が社会そして生活に幅広く取り入れられるために尽力。 -
大木 美枝子調査・企画
- 美術館をはじめ幅広いミュージアム整備、アートや地域資源を活かしたまちづくり・地域創生の調査・プランニングを担当。デジタルアーキビストとして、ミュージアムのデジタルアーカイブ構築・拡充にも注力。
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青島 彩デザイン・設計
当所第7代吉田会頭が観光振興関連書籍で丹青研究所が紹介する“エコミュージアム事業”に強い関心を持ち、平成11年に事業推進を決定、マスタープラン、アクションプログラム策定、事業化となりました。
当時の地域背景として伊勢志摩地域は観光資源では高い評価を受けてはいるものの“団体観光から個人観光”、“快適空間”に課題があり、転換を図る必要性に迫られていました。
策定した11地区から主要な「みなとまち文化」、「海女文化」、「御食国文化」を中心に地域事業者、住民、観光関連団体、大学、文化財委員等々の方々の支援協力のもと民間主導の観光地づくりを20数年、継続して取り組んでいます。
市内各地域が誇りを持ち、大切にしたい歴史遺産、伝統、文化、祭、風習、原風景等を調査研究し、資源の掘り起こし、保全継承、事業化を図ることで“住んでよし、訪れてよし、商いしてよし“の観光まちづくりを進めています。
鳥羽商工会議所専務理事清水清嗣